G7財務相会議で、国際的な法人税に関する最低税率の議論において、15%ということで合意ができたということです。

私はこの動きを歓迎したいと思います。

これまでの間、各国における法人税については、いわゆる「引き下げ競争」が続いていて、各国の税源が「侵食」されていることが大きな課題として指摘されていました。

そのために、例えば社会保障の安定財源として、消費税に頼らざるを得なくなるといった状況が生じていました。

法人税についての最低税率が合意されれば、税率引き下げ競争に歯止めをかけることができます。

ただ、私は菅政権に、ここからもう一歩踏み込むことを求めたいと思います。

それは国内の法人税率について、皆が納得するような「応分の負担」を求められるようにすることです。すなわち収益をしっかり上げている企業においては、それに応じた税をきちんと払ってもらうように、「税率を上げる」ことです。

今の法人税制においては、例えば大企業に関して、各種の租税特別措置による恩恵、あるいは国内外の子会社への投資を行うことで実質的な税率を下げられるという優位性があると言われています。

そして、実際に日本の企業セクターにおいては、近年過去最高と言われる収益を上げながらも、その一方で内部留保が極めて多額に積み上がり、500兆円近くまで至っている、という現状があります。

法人税を含めた直接税については、税の構造に累進性を持たせることで、社会全体の格差を是正する役割を発揮します。ところが、これまでは法人税率の引き下げ競争の中で、そのような格差是正の機能が発揮されていませんでした。そしてその上に、財源を調達する機能も損なわれていました。

このような現状を受けて、法人税の最低税率が決まったことを受けて、菅政権においてはもう一歩踏み込んで、法人税率を適切に上げて、法人税による格差是正機能、財源調達機能を取り戻させるべきです。

これは次期衆議院選挙においても、問われるべき政策だと、私は考えています。