安全保障法制について、統合幕僚監部が5月末の段階で、既に法案の成立を見越した上での資料を作り内部で共有していた問題。これは明日の参議院安全保障特別委員会の集中審議でも取り上げられると思います。
中谷大臣は、法案の内容を部内に周知するべしという指示を自分が行ったことの範囲内だからシビリアンコントロール上は問題ないといった趣旨の答弁を行っています。しかしこの資料はそのレベルを超えています。

例えば、資料では、法案が夏に成立することを当然のことのように前提にしていますが、国会で強行採決をもって数で押し切ることについてこれだけ世論の強い反対の声のある中ですから、これは国民の声を、そして国会を著しく軽視しているものと言わざるを得ません。

さらに言えば、日米ガイドラインのくだりにおいて、南シナ海での警戒活動についての検討が挙げられていますが、安倍総理や中谷大臣は、これまでの国会答弁の中で日米ガイドラインの文脈での南シナ海での警戒活動についてはかなり抑制的な発言を繰り返していました。そういった、総理や大臣の答弁からの逸脱もあります。

そのような大きな問題をはらんでいるにもかかわらず、中谷大臣がこの件について、問題ないと、役所が書いた答弁書を一字一句間違わないように呼んでいること自体が、政治家がしっかりコントロールしていない、すなわちシビリアンコントロールが効いていないことを明白にあらわしています。

明日の審議の中で、安倍総理も同じく、役所の答弁書を読み上げることに終始するとしたら、シビリアンコントロールの欠如は決定的と言わざるを得ません。