ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国、いわゆるBRICsが、それぞれ必要な資金等の拠出をしての、「BRICs開発銀行」の設立が決定したとのこと。
 
この銀行は、途上国に対して開発資金を融通することのみならず、外貨危機に対して外国準備も貸し出す役割を負うとか。
 
すなわち、開発銀行という名前ですから、途上国版の世界銀行という役割を負うのかなと思っていたら、途上国版の国際通貨基金の役割も担うことを意味します。
 
途上国に対しては、長らく、世界銀行、国際通貨基金から開発資金や外貨準備を融通し、そのかわりに必要な経済改革を条件付けして求めていく、といういわゆる「コンディショナリティー方式」で国際社会全体として取り組んできました。一方で、途上国は、おカネは欲しいけれど経済改革の実行は国内的にも難しいものが多く、「コンディショナリティーを緩めてくれ」と要望する、というのが常だったわけです。
 
今回BRICs開発銀行との関係では、そのコンディショナリティーはどうなるのか、気になるところです。おそらく緩いものでしょう。そうすることで最大拠出国の中国をはじめとしたBRICs4カ国は途上国に恩を売り、途上国全体に対する影響力が強まるという結果になります。
 
私はそういう意味で、このBRICs開発銀行は、国際政治上大変大きな意味を持つと見ました。